2021年以降の住宅ローン控除はどうなる?新たなポイント制度も開始!

一般社団法人 住宅生産団体連合会(以下、住団連)は、新型コロナにより落込んだ日本経済を早期に回復させる経済対策の実施と施策の案を、国土交通省に提案しています。

もし住団連の提案が認められれば、2021年以降に住宅を購入した人は、住宅ローン控除の適用期間がさらに延長されるかもしれません。また、すでに受付が終了した次世代ポイント制度のような施策が再び実施されて、住宅を購入しやすくなる可能性があります。

そこで本記事では、住団連が提案した施策の内容を、住宅市場の現状と併せてわかりやすく解説します。

速報

2021年度の税制改アックで、住宅ローン控除の適用期間延長が正式に決定いたしました!詳しくは以下の記事をご参照ください。
 

この記事でわかること
  • コロナ禍における住宅市場の現状
  • コロナショックにより人々の生活スタイルや住宅需要がどのように変化したか
  • 住団連が提案した経済対策要望の内容

【動画目次】
00:00 はじめに
01:59 住宅ローン控除期間延長の適用条件
03:56 コロナによる適用要件緩和の内容
06:07 2021年の税制改正案の内容
08:50 まとめ

執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

住宅ローン控除の延長特例は終了間近!コロナ禍における住宅市場の現状

住宅ローン申請で悩む人

住団連が、住宅を購入しやすくなるような施策の実施を提案している理由は、消費増税と新型コロナウイルス感染拡大が重なったことで、住宅需要が低下したからです。

緊急事態宣言が発令された4月と5月は、多くの住宅展示場が閉鎖されました。その結果、住宅展示場への来場者数と住宅の受注数は、以下のように前年の同月を大きく下回っています。

※出典:一般社団法人住宅生産団体連合会「新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞からの早期脱却と景気回復に向けた経済対策要望について

住宅の建設工事やリフォーム工事の受注減少によって、廃業の危機に直面している中小工務店が増えています。また建設技術者の離職・転職の発生により、住宅生産体制自体の崩壊が懸念されている状況です。

空き家問題が深刻化する日本は、高品質な住宅を建てて何世代にもわたって大切に利用していく、ストック型社会へと移行している最中です。しかし生産体制が崩壊して住宅の普及が停滞すると、良質な住宅ストックが増えていかず、ストック型社会へ移行できません

加えて、工務店や技術者の数が減ると、大地震や洪水といった災害発生時の復旧・復興にも支障が出てしまいます。そのため、経済政策によって日本の景気を早急に回復させて、住宅生産体制の崩壊を防ぐ必要があるのです。

コロナ禍ショックにより人々の生活スタイルと住宅需要は大きく変化

一方で消費者の住宅に対する関心は、新型コロナウイルスの影響によりむしろ高まっています。外出自粛によりオンラインショッピングで買い物をする人やテレワークを推奨する企業が増加し、人々の生活や働き方が大きく変化したためです。

外出自粛によって自宅にいる時間が増えたことから、以下のように、多くの人々が住まいのことを考えるようになりました。また住宅に対して求めることは、「家でも仕事できる環境」「リラックスできること」といった意見が上位を占めています。

※出典:一般社団法人住宅生産団体連合会「新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞からの早期脱却と景気回復に向けた経済対策要望について」株式会社リビタ「暮らしと住まいに関するアンケート調査」

このように新型コロナの影響による景気の低迷とは反対に、人々の住宅に関する関心は高まっています。

消費税増税に伴う住宅購入支援策が終了間近

人々の住宅に対する関心が高まるなか、徐々に住宅は購入しづらい状況となっています。消費税が10%に増税されたタイミングで、住宅需要が落ち込まないように実施された施策が次々と終了しているためです。

まず、環境性能が整った住宅を購入した場合に適用できる「次世代住宅ポイント制度」は、8月末で終了しました。

次世代住宅ポイント制度とは
次世代住宅ポイント制度とは、省エネ性や耐震性、バリアフリー性などが一定以上の住宅を購入したりリフォームをしたりした場合にポイントが発行される制度
獲得したポイントは、家具やインテリア、食料品などのさまざまな商品と交換できる。

また、住宅ローン控除の適用期間を13年に延長できる特例の期限も迫っています

住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に、年末時点の借入残高1%分の減税を受けられる制度

控除期間を本来の10年から13年に延長するためには、2020年(令和2年)12月31日までの入居が必要。しかし新型コロナの影響で工事が遅延した場合は、以下の期日までに契約を結んでいれば、入居要件が2021年(令和3年)12月31日までに緩和される。

  • 注文住宅を新築:2020年(令和2年)9月末
  • 分譲住宅・既存住宅を取得する場合や増改築等:2020年(令和2年)11月末

住宅購入時の金銭的な負担を緩和できる施策の終了と、新型コロナによる景気の低迷が重なると、住宅需要はさらに低下するでしょう。

住宅需要は「内需の要」といわれるほど、日本経済を支える重要な位置づけにあります。加えて住宅需要が伸展すると、家具や家電などの需要も誘発されて伸びるとされています。

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界規模の問題であるため、海外需要の急速な回復は期待できません。そのため日本の景気を回復させるには、かつてない規模の施策を実施して住宅需要を刺激する必要があると、住団連は国に訴えているのです。

2021年以降はどうなる?コロナによる経済停滞からの脱却に向けた経済対策要望の内容

住団連による経済対策要望の内容は、以下の4つです。

  1. 新しい生活様式ポイント制度の創設
  2. 住宅ローン減税の拡充
  3. ZEH補助制度の拡充
  4. 住宅取得資金等に係る贈与税非課税枠の拡大
それぞれについて解説していきます。

【要望1】新しい生活様式ポイント制度の創設

新しい生活様式ポイント制度とは、2021年以降のポストコロナ時代における新しい生活様式や働き方に合った住宅を購入・整備すると、さまざまな商品と交換できるポイントが発行される制度です。

次世代住宅ポイント制度とは、以下のような、新型コロナの影響で生じた新しい住宅ニーズに対応する整備でも、ポイントが付与される点が異なります。

  • テレワークスペースの確保
  • リモートワーク・WEB 会議等が実施可能な環境
  • 二地域居住(地方や郊外の空家活用)
  • 感染防止を目的とした2つ目のトイレ・洗面設備の整備 など
    ※上記はあくまで提案中のものであり詳細は未定
また付与されるポイントが、最大200万ポイントとなっている点も大きな違いです。

次世代住宅ポイント制度の上限は、住宅の新築時で35万ポイント、リフォーム時で1戸あたり30万ポイントでした。今回の提案が採用されれば、獲得できるポイントが大幅に増えて、より多くの家具や家電などと交換して、住宅購入時の支出を抑えられます。

【要望2】住宅ローン控除の拡充

住団連は、控除期間を13年超、控除率を全期間「年末時点における借入残高の1%」とする住宅ローン控除を、2021年以降に景気が回復するまで実施するよう提案しました。

現行の住宅ローン控除の控除期間は、最大で13年です。もし住団連の提案が実現すると、所定の条件を満たして住宅を購入した方は、現在よりも長期間にわたって減税を受けられることになります。

また控除率が、今回の提案通り全期間1%になると、借入期間が長い人は控除額が増える可能性があります

増税時に実施された特例措置では、11〜13年目の控除額は「年末時点における借入残高の1%」と「建物の取得価格の2%÷3」のどちらか低い金額でした。

借入期間が長期間である場合、11〜13年目の控除額は「建物の取得価格の2%÷3」となる場合がほとんどです。控除期間が全期間1%になると、11年目以降も借入残高の1%に相当する減税を受けて、従来よりも多くの節税効果を得られます。

速報

2020年10月27日の日経で控除期間延長措置が「2年」延長する見通しだと報じられました!

 

【要望3】ZEH補助制度の拡充

ZEH補助金とは、ZEH住宅を建てた場合に受給できる補助金です。

ZEHとは
ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)とは、断熱性能が高く、暖房や換気などの設備のエネルギー消費が少なく、太陽光発電のような再エネ設備を導入した自家消費型住宅

たとえば、所定の条件を満たしたZEHの戸建て住宅を建てると、60万円の補助金が支給されます。さらに蓄電システムを導入する場合、2万円/kWh(補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額)が加算されます。

住団連は、2021年以降もZEH補助金事業を継続するための十分な予算確保や、補助金額を住宅需要が回復できる水準までの引き上げを要請しました。

【要望4】住宅取得資金等に係る贈与税非課税枠の拡大

住宅取得資金等に係る贈与税非課税枠とは、両親や祖父母から住宅の取得を目的として資金提供を受けた場合に、一定金額まで贈与税がかからなくなる制度です。現在実施されている非課税枠の内容は、以下の通り。

契約を締結した日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円

※省エネ等住宅とは、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性が一定の条件を満たした高性能な住宅

このように従来の住宅取得資金等に係る贈与税非課税枠は、契約締結日と取得した住宅の種類によって非課税額が変わる仕組みでした。

住団連は、今回の提案で高齢者が保有する金融資産を有効活用して若年世帯が住宅を購入できるように、2021年以降の贈与税非課税枠を一律3,000万円まで拡大するように要請しています。

まとめ:2021年に住宅ローン控除の拡充や新しい生活様式ポイント制度が実施される可能性

住団連が国土交通省に提案した施策の案は、どれも住宅購入に伴う金銭的な負担を、かつてない規模で緩和してくれるものです。

ただし今回提案された施策が、必ず実施されるとは限りません。そのため、中古住宅の購入を考えている方は、低金利の恩恵と住宅ローン控除の特例措置の両方が受けられる、2020年11月末までに購入してしまうのも一つの方法です。

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イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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